IT契約に関するトラブルは、同じようことを原因に繰り返されてきていると思っています。
「なぜ30年間同じ失敗が繰り返されるのか」というレポートで、高田寛教授(富山大学経済学部経営法学科)は「開発失敗に至るプロセスに30年間変化なし」として、
「受注金額が決まっているにもかかわらず、交渉過程において次から次へと要求が増えていきます。そのうちに、予定の納期が迫ってきて、契約が締結されていないまま作業を始めてしまいます。」とそのプロセスを説明しています。
(BUSINESS
LAW JOURNAL No.64 2013.7 p54~p55)
上記のような開発失敗プロセスの解決策として、高田教授は「できるだけ早く相手方の法務と交渉を開始し、お互いにシステム開発のリスクを分析して明確にしていくことだ」としてます。
もちろん、それでシステム開発が滞りなく進んで、発注者(ユーザー)側も納得のシステムが完成すれば、何ら問題ないでしょう。
実際には、中小の開発会社(ベンダー)においては法務のような専門部署があることはほとんどないばかりか、法律や契約のことを理解していない者が契約交渉を行っていることがほとんどです。
一方、IT分野から見ると、「法律(契約)」は全くの対極にあるもので、ITには法律(契約)は関係がない、法律(契約)なんてITの足を引っ張るものだ、という考え方を持たれている方もいます。
例えば、契約書を作成しない理由として、「仕様の変更等のスピードについていけない」というものがあります。
仕様がしょっちゅう変わる(実装が始まってもコロコロ変わる...)のに、いちいち契約書などにしていられない、ということです。
これについては、どのようにすれば後々のトラブルにも対応し得るか、という方法等について検討できるようなことでありながら、それをしようとせずに「できない」と決めつけてしまっているようにも思えます。
また、IT技術に法律が追いついてない、という批判もあります。
もちろん、これについては法改正を求めていくことも必要ですが、今現在ビジネスを進めていく上では、現在の法律の中で対応せざるを得ないのは、IT分野に限りません。
(システム開発トラブルや、IT契約に関するトラブル、開発失敗等が、法律の‘遅れ’等に起因するケースはほとんどないように思います。)
また、もし法律で決まっていないのであれば、契約で対応する必要があるわけです。
結局は知っているか知らないか、知ったうえでやるかやらないか、
という中で、知っているのにやろうとしていない
という点が、同じトラブル、同じ失敗を繰り返す原因ではないかと思っています。
法律側の者が、様々な事件や事例を通して問題点を洗い出し、対応策を提起しても、「それはできません」と言われてしまったら、どうしようもありません。
問題やトラブルは現場でしか起こり得ないので、現場で対応しようとしない限り、同じ失敗やトラブルは繰り返されます。
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