2017年4月17日月曜日

請負契約なのに「プロジェクトマネジメント義務」

システム開発やWeb制作等のIT契約においては、「全体として」は請負契約になると思われます。

受託者側として委任契約を望まれる場合には、こちらもご覧ください。

さて、システム開発等のIT契約が請負契約であるのに、
 受託者側にプロジェクトマネジメント義務が課せられる

のは、なぜでしょうか?

例えば、請負契約の典型である、大工さん(現在であれば、工務店や建築会社か?)に家を建ててもらう、という場合に、「プロジェクトマネジメント義務」なるものが、問題となるでしょうか?

実は、リフォーム案件で類似の問題が起こったケースはありますが、非常にまれです。

請負契約とは、
 仕事の完成が明確になっている

ということが前提になっている契約です。

そうすると、受託者側としては、明確化された仕事の完成の条件(内容)に従って仕事を完成させたらよい、ということになります。

家を建てる、ということであれば、設計図(仕事の完成の条件(内容))が決まれば、それに従って工事を行えばよいわけです。

この‘工事を開始する段階’以後は、施主の要望で設計や細かい仕様が変わらない限りは、いわゆる「プロジェクトマネジメント義務」なるものは生じません。


しかし、システム開発等のIT契約の場合、
 最初の段階で、最終的に完成させるシステム等の内容が明確になっていない

ということが、問題となります。

全体としては請負契約であるにもかかわらず、
 仕事の完成が明確になっていない

という点が、IT契約の特徴です。

そうすると、
 (全体としては)請負契約であるのに、
 契約内容を決めていくことが契約内容としなければならない

ということになります。

ここに、プロジェクトマネジメント義務の問題が絡んできます。


実際には、契約当初の段階では、
 請負契約が委任(準委任)契約かハッキリしない
 仕事の「完成」も、仕事の「内容」もハッキリしない

というのが現状であり、これらを明確にしながら、その業務を進めていく。
業務が進んでいる段階であっても、内容が変わることが多々あるので、それをさらに確認しながら、業務もさらに進む、という複雑な流れをするのが、IT契約の特徴です。


「全体として」請負契約ではある、ということを前提として、
しかしながら、単純に「プロジェクトマネジメント義務」という文言を契約書に入れておけばよいというわけではありません。

そもそも、請負契約と委任契約では、当事者の義務は全く異なります。

そのあたりをしっかりと検討した上で契約しなければ、「契約書を交わしたけれどトラブルになった」ということになりかねません。


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