2016年8月1日月曜日

請負契約と準委任契約の基本(前編)

民法には、売買契約や賃貸借契約など、13の契約類型が規定されています。

この13の契約類型を、典型契約、又は(法律において名前が付けられているということから)有名契約といいます。

この典型契約(有名契約)の中で、
IT関連業務の契約では、「請負契約」と「委任契約(準委任契約)」という契約類型が重要になります。



請負契約とは、
当事者の一方がある仕事を完成させることを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる契約です。

仕事の完成を約束する
仕事が完成したら報酬を払う

ということになります。


一方、委任契約とは、
当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを
承諾することによって、その効力を生ずる契約です。

そして、法律行為ではない事務を委託する場合を「準委任契約」と呼んでいます。


さて、IT関連業務においては、例えばシステム開発契約を考えると、発注者(ユーザー)側としてはシステムを完成させて、ちゃんと使えるようにしてもらわないと意味がないので、請負契約であることを望みます。


一方で、いわゆる多段階契約でシステム開発を進めていく場合、ある段階の契約では請負契約、ある段階では準委任契約というふうに分けることが望ましいとされています。


例えば、発注者(ユーザー)側の協力を得なければ進められない業務について請負契約のようにしてしまうと、ユーザー側の協力が得られずに完成が遅れた場合(納入等が遅れた場合)であっても、受注者(ベンダー)側の責任(債務不履行:履行遅滞)とされる可能性もあります。


そうすると、請負契約で締結するにしても、相手方の協力が必要な場合には、それによって完成の時期が遅れることがある、というような内容を盛り込んでおく必要があります。

一方、準委任契約は「行為」に関することですですので、「結果」が求められているわけではありません。


この違いに注意することが重要です。



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